17.プリンはプリンでも?

動機
偽物プリンに希ヨードチンキをかけると、ヨウ素デンプン反応が出ると本に書いてあった。家でプリンを作るときは、卵・牛乳・砂糖しか使っていないのにヨウ素デンプン反応が出るということはデンプンが入っているということになる。どういうことなのかと思いいろいろなプリンを調べることにした。

準備
希ヨードチンキ、 ペトリ皿、 スポイト、 プリン各種
自家製プリンとインスタントプリンの材料
(牛乳、 卵、 砂糖、 なべ、 はかり、 プリン型、プリンミックス、 オーブン、 冷蔵庫)

実験の準備
①スーパーやケーキ屋などで売られているプリンを買ってくる。原材料が表示されているプリンは内容がかたよらないようにして買う。
②プリン・プリンの値段・1gの値段・おもな原材料を表に書き出しておく。
③自家製プリンとインスタントプリンを作る。
④それぞれのプリンをペトリ皿にとる。
⑤ヨードチンキを1~2滴たらす。
⑥ヨウ素デンプン反応を調べる。
⑦ヨウ素デンプン反応を表に書く。

材料・作り方でどこがちがう?

 

結果の予想
自家製プリンとインスタントプリンの大きな違いは、材料の卵の有無・材料を混ぜたあとの手間だ。見かけは同じでもプリンを型作るには、卵が重要な決め手になるのでは。

実験1

プリンに希ヨードチンキをかけ、ヨウ素デンプン反応を調べる。結果は次のようになった。

プリン

1個の値段(1gあたり)

おもな原材料

ヨウ素デンプン反応
A社 3個入りプリン 63円(0.88円) 乳製品、砂糖、植物性油脂、V.C, カロチン色素
食塩、酸味料、乳化剤、牛乳、コーンスターチ
ゲル化剤(増粘多糖類)、香料、卵紛

あり

B社 プリン 120円(0.92円) 脱脂濃縮乳、クリーム、卵黄、香料、砂糖、液卵

なし

C社 牛乳プリン 130円(1.08円) 生乳、糖類、乳製品、植物性油脂、澱粉、
卵黄、洋酒、寒天、乳化剤、乳たんぱく、香料
食塩

あり

D社 焼きプリン 150円(1.00円) 生乳、乳製品(クリームなど)、卵、砂糖

なし

D社 牛乳プリン 120円(0.67円) 乳製品、糖類、 糊料(増粘多糖類)、澱粉
香料、乳化剤

あり

E店 プリン 160円(1.60円)

表示なし

なし

F店 プリン 280円(3.29円) 表示なし

なし

G店 プリン 220円(2.36円) 表示なし

なし

自家製プリン 29.4円(0.42円) 卵、砂糖、牛乳

なし

インスタントプリン 59円(0.52円) プリンミックス(砂糖・澱粉・香料・酸味料・
着色料・ゲル化剤〈増粘多糖類〉・乳化剤)
牛乳

あり

プリン画像1・・・省略

プリン画像2・・・省略

プリン画像3・・・省略

1gあたりの値段が安いプリンにヨウ素反応があった。反応があったものは原材料の中に糊料・増粘多糖類・澱粉が表示されていた。メーカー品の製品の中で糊料などの表示がなかったものは反応がなかった。
ケーキ店のプリンは原材料が表示されていないがすべてのものに反応がなかった。自家製プリンも反応がなかった。
ヨウ素反応を示したプリンは、きめが細かく「つるん」とした感じ。食べたときに弾力性があった。反応を示さなかったプリンはつるつる感がなく弾力性があまりなかった。

実験2
実験1の結果から、卵とデンプン類は同じ働きをするのでは?卵の量を少なくするとどうなるか。卵の割合を半分にして自家製プリンを作ってみた。全体量を同じにするため、牛乳と砂糖を増やした。

結果

プリン画像4・・・省略

卵の量を減らしたものは、かたまりにくく出来あがるまでに倍くらいの時間がかかった。型から出したらやわらかくくずれやすかった。

卵の量でかたさが違う。卵がかためる役割をしていることがわかる。

実験3
自家製プリンとインスタントプリンで、牛乳もプリンを作るのに影響があるのかどうかを調べた。牛乳のかわりに水を使って同じように作った。

結果

プリン画像5・・・省略


 自家製プリンはかたまるまでに倍くらいかかった。型からだしたらかなり「ドロドロ」で、形にならない状態だった。インスタントプリンは、冷やす時間が40分とかいてあったが、2時間でゼリー状にかたまった。牛乳もかためる役割をしていることがわかる。

 わかったこと
実験で糊料を使っているものといないものの結果が正直に出た。糊料などを使ったプリンは低価格で販売できる。プリンとは卵20%、牛乳65%、砂糖15%の割合が1番おいしいとされている。卵が多くなれば硬くなり、少ないとやわらかくなる。卵の量によってプリンのかたさがかわる。牛乳を水にかえたら、かたまりにくく型から出したらくずれやすかった。牛乳が卵をかためる助けをしていた。インスタントプリンに卵が入っていないのにかたまるのは、糊料などが入っているからである。その糊料などがヨウ素デンプン反応をしめしたわけだ。
添加物を使ったものは、製造の手間をはぶき価格も安く大量生産につながる。しかし、手作りできない消費者のためにも安全性を考えてほしい。自家製が1番だけど。

 参考図書
「家庭で楽しむ理科遊び」         裳華房
「すぐわかる食品添加物ガイド」     家の光協会
「おいしくつくる料理のひみつ」      大月書店

                 

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