42.幼虫の体色変化と食草の色素について

[101]幼虫の体色変化と食草の色素について 暁 2006/06/13 11:26

これは私が実際に中学1年の時に提出した研究の1部です。このときはナミアゲハならなんでもいい! ということで今まで家で育てたアゲハの思い出やミニ研究など、なんでもごちゃ混ぜにつめ込んだ観察ノートでした。

[動機]
理科の授業中、液胞には色素が含まれるという話を理科便覧で発見。
『古い葉っぱ=液胞が大きくなる=色素が濃くなる』
と考えた。さらに以前あまりの食草不足により少々硬い葉っぱを無理に食わせてしまったアゲハの幼虫の色が濃い青緑色になったことを思い出し、
「古い葉っぱを食べた幼虫は色素を体内に取り込み、色が濃くなるが、新芽を食べ続けた幼虫は色素の不足により、色が薄くなるのではないか」という仮説を立てた。
[やり方]
1匹は1~5齢(終齢)まで新芽を食べさせ、もう一匹は2齢まで新芽で通し、徐々に古めの葉っぱに変えていく。
[結果]
新芽を与え続けた幼虫は終齢になると白っぽく、ぼやけた薄い黄緑色に。
古い葉っぱを与えた幼虫は濃い青緑色に変化した。
[考察]
幼虫、特に終齢では幼虫の体色にも微妙な変化が見られるものの、今回の実験ではかなりはっきりと色の変化が現れた。個体差という可能性を差し引いても、
予想通り、古い葉っぱのほうが色素が多く、
また、幼虫は葉の色素を体内に取り込んで、体の色を変化させている。
この仮定は成功であったと思う。

ここまでが中1の時の研究です。

続:幼虫の体色変化と食草の色素について

[102]Re:幼虫の体色変化と食草の色素について 暁 2006/06/13 11:35

大学生になってから、専門の論文を読み、自分の実験を振り返ってみました。
(中学時代はパソコンなどもなかったので研究方法から考察までほとんど参考資料も無しで挑んでました)

『幼虫や蛹の体色に関するおもな色素は、カロチノイド、(黄、オレンジ、赤)ビリン(青緑色、青色)オモクローム(黄色、褐色、赤紫色)メラニン(黒色、赤褐色)などである。また、普通は色素に上げられないが、尿酸が大量に皮膚に蓄積する場合は、体色が白くなる。

チョウやガの多くの幼虫や蛹の色は緑色である。
葉の緑色は、光合成に関与するクロロフィルの存在によるが、昆虫の緑色はクロロフィルではないことはもちろん、単一の緑色色素の存在によるのでもない。それは黄色色素と青色色素が共存するためである。黄色色素として普遍的に存在する。この色素は主として皮膚や血液に存在しており、脂溶性であるために普通は特定のタンパク質と結合している。

ナミアゲハの幼虫や蛹からも植物由来のカロチノイドが見つかっている。

チョウ目に限らず昆虫は、カロチノイド色素を合成できないので、食物からこれを取り入れる。したがって、普段は緑路の幼虫を、カロチノイドを含まない人口飼料で飼育するとその体色は青色となる。それは青色色素のビリン色素のみが組織中に存在するからである。また、遺伝的にカロチノイドを取り込めない突然変異体や系統・品種もみられ、青色を呈した幼虫が見つかることもある。』

中学時代には知らなかったことがいろいろ載ってました。
液胞に含まれる色素は主にアントシアン。
しかし、幼虫が取り込んでいたのは新芽の鮮やかな黄緑色に含まれるカロチノイドだったというわけです。
白っぽくなったのは尿酸のせいも考えられますが、おそらくこれもカロチノイドの過剰摂取のせいだと思われます。

逆に色が濃くなると思われた幼虫は濃い青緑色だったことから、カロチノイド不足によって幼虫本来の持つビリンの色がより強く現れたのだと思います。
う~ん・・カロチノイドの取れない青色幼虫、も一度みてみたいです。

色素こそ間違えたけれど、着眼点は良かった気がします。自己満足ですけど(^^;)

理科の自由研究においては、何も正解を出すことだけが良いこと。ということではありません。
この実験のようにたとえ間違ったとしても、考察と発想力を駆使すれば、評価は格段にあがります。

余談ですが、これと似たような実験で、1齢幼虫から固めの葉を食べさせると、通常5齢(脱皮が5回目という意味)で終齢のところ、6齢まで発生させたという小学生もいるようです。
おそらく、栄養素が足りなかった分、幼虫の時期を延ばすことで栄養を蓄えようとしたのでしょう。
この結果は昆虫学者をも驚かせたそうです。
生物の観察はまだまだ未知数な部分が多く、予想を上回る結果を見せてくれることも多々あります。やり方次第では世界の研究者にも匹敵する研究もできるのです。

43.幼虫の味覚についての研究