43.幼虫の味覚についての研究

[131]幼虫の味覚についての研究 暁 2006/06/18 15:00

これも幼虫の色素と一緒に提出した実験です。
中学の時は「幼虫の好き嫌いを探れ!」という題名で出しました。
[動機]
私の家ではカラタチとレモンの木があり、そこについた幼虫を飼育ケースに入れ、近所のもっと大きなカラタチの木から採ってきた葉で飼育していた。
ところが、小学4年生の頃、まだ小さなレモンの木で育った幼虫(4齢)をカラタチの葉で飼育しようとしたところ、嫌がって1口も食べなくなった。
しかたなくレモンの木に戻すと、幼虫は凄い勢いでレモンの木を丸坊主寸前にしてくれた。
このことから、幼虫には味覚が存在するのではないかと思い、確かめることにした。

[準備物]
・飼育ケース、オアシス、ナミアゲハの幼虫、カラタチの葉、レモンの葉、ナツミカンの葉
(ほんとうはもっといろいろな種類で試してみたかったが、家の近くに食草にできるだけの大きな柑橘類の木が少なかった)

[実験方法]
1齢~3齢(もしくは4齢)までAの木で育てた幼虫の飼育ケースに別の種類の木Bの葉を入れ、食べるかどうか調べてみた。
*印=プチ考察

①カラタチ→カラタチ
家で一番多く行っていた方法。
なんの問題もなく食草チェンジが成功。
むしろ5齢からでもチェンジ可能。
*気は違えど、種類が同じなので味はあまり変わらないのだろう。

②レモン→カラタチ
やはり嫌がった。3齢ではまだチェンジ可能だが食べ始めた時期の食欲は少なかった。4齢になると完全に食べなくなった。
*レモンの葉の方がカラタチより美味しいのではないか。

③カラタチ→ナツミカン
4齢以降から嫌がられた。3齢でも、与えてから2日ほどはあまり食欲が乗らない様だ。
*ナツミカンのほうがカラタチより不味いのではないか

④ナツミカン→カラタチ
3齢、4齢共最初は迷ったものの、2時間で食べだした。
食欲も旺盛だ。
*カラタチ→ナツミカンへの転移は困難で、逆はさほど困難ではないことから、やはりナツミカンの方が不味いのではないか。

⑤カラタチ→レモン
3齢、4齢とも最初は戸惑うものの、しばらく葉の様子を伺ってから元気に食べだした。
*レモンの方がカラタチより美味しいのではないか

⑥レモン→ナツミカン
3齢からでも嫌がられた。(ハンスト)
*ナツミカンは相当不味いに違いない。

⑦ナツミカン→レモン
元気良く食べ始めた。3齢の時に食草をチェンジさせ、5齢幼虫の時にレモンの葉が底をついてきたのでナツミカンに戻そうとしたら嫌がられた。最終的にカラタチの葉へ乗り換えさせた。
*レモンが大人気。ナツミカンは不評のようである。

[結果]
*印(考察)から推測し、美味しいもの順で並べると
レモン>カラタチ>ナツミカン
となった。同じ柑橘類でも葉は微妙に味が異なり、幼虫はそれを敏感に感じ取っていた。

[2者混合法]
上の方法は食草をチェンジさせるため、全て別種の葉で統一させたが、今度はカラタチの木で育った幼虫と、レモンの木で育った幼虫とを同じ飼育ケース内に入れ、餌もレモン、カラタチの両方を入れて飼育してみた。
すると、えさがある限り、カラタチで育ったものはカラタチの葉を、レモンの葉で育ったものはレモンの葉ばかりを食べ続け、お互いの食草に侵食しようとはしなかった。

[考察]
前の結果・考察からレモンはカラタチより美味しいと考えられるが、幼虫にとって完全に食草を取り合えられない限り、慣れ親しんだほうの葉を好むようだ。

以上が中学(というか小学4年生)の頃の実験です。

2者混合法ではナツミカンを使用したかったのですが、
持ち主に怒られてしまい、使えませんでした。
こっそり盗ってはいけませんね。飼育する時はちゃんと持ち主の了解を得てから取りましょう。
ちなみに大きいほうのカラタチの木は持ち主の了解を貰っています。

続:幼虫の味覚についての研究

[136]Re:幼虫の味覚についての研究 暁 2006/06/18 20:06

上の研究を大学に入ってから論文で調べました。
1999年。私が発表したのとほぼ同時に専門家も同じ研究をしていたみたいです(笑)

一般的に初期齢幼虫の時代は味覚の発達が不完全であり、そのため本来の食草ではない植物も摂取して成長できる場合があるそうです。(食草の進化の流れもこれにちょっと関係してきそですよねw)
幼虫の味覚は中齢期まで発達し、この間の期間には可塑性がみられるそうです。
また、普通蝶が食草としない植物には摂食阻害性物質が含まれており、そのため幼虫はその植物を食すことができないのですが、1齢からそのようなものを与え、うまく成長できた場合、摂食阻害性物質の刷り込みが起こり、問題無く成長することが可能となります。この場合、中齢期頃に本来の食草とチェンジしてもうまく適応できますが、この逆は困難となります。

とうことは、ナツミカンにはカラタチやレモンよりも摂食阻害物質が多く含まれているということになりそうですね。

ちなみに、レモン好きな幼虫の場合は
若齢期頃になると摂食刺激物にたいして慣れてしまい、食草として適応できる別種にチェンジしようとしても、
摂食刺激物質が満足できる一定量以上に達しなかったため「おいしくない」と言って駄々をこねだしたというわけです。(厄介!!)

[137]Re:幼虫の味覚についての研究 t-nishi 2006/06/18 20:10

暁さん、こんにちは。
幼虫シリーズ。すばらしいですね。小さい頃から幼虫(生物)に慣れ親しんだ暁さんは、本当に理科(生物)好きになって、現在の進路もその方向に進んでいる。この環境にあるからこそ、ですね。おうちの方の影響も大きいです。今読んでいる本が「学力を育てる」(志水宏吉)ですが、「学力は、まわりの環境で育つ」ということです。現在の中学生にも参考になると思います。ありがとうございました。もちろん、ミニ研究に追加させていただきます。

アオスジアゲハにおける先祖返り?

[138]アオスジアゲハにおける先祖返り? 暁 2006/06/18 20:17

先日、知り合いからアオスジアゲハを貰ったのですが、
このアオスジアゲハは、普通クスノキ科を食そうとするはずなのに対して、なぜかバンレイシ科の葉を食べているということでアゲハチョウ科の『ウマノズクサ科→コクレン科、バンレイシ科、クスノキ科→ミカン科→セリ科→キク科』という進化の過程に着目し、「先祖返り説」が予想されました。
しかし、他の資料を見ているうちに、アオスジアゲハの食草にクスノキ科の他にバンレイシ科も含まれる文献を多々発見しました。
残念ながら先祖返りではありませんでしたが、
理想はクスノキの葉で育ったアオスジアゲハの幼虫を入手すること!(特に4齢が最も好ましい)
・バンレイシ→クスノキへのチェンジが可能
クスノキ→バンレイシのチェンジが可能
【同じ食草の範囲内に当たるのではないか】
・バンレイシ→クスノキへのチェンジが可能
クスノキ→バンレイシへのチェンジが不可能
【バンレイシには摂食阻害性物質が含まれているorクスノキに多量の摂食刺激物質が含まれているのではないか】
・バンレイシ→クスノキへのチェンジが不可能
クスノキ→バンレイシのチェンジが可能
【バンレイシには摂食刺激性物質が多量に含まれているorクスノキに摂食阻害物質が含まれているのではないか】
・バンレイシ→クスノキへのチェンジが不可能
クスノキ→バンレイシへのチェンジが不可能
【それぞれ違った摂食刺激物質に慣れているor先祖返りの可能性】
などの観察&考察を行うことで、成分の分析などができないひとでも、どちらがより摂食刺激物質を含むかなどを予想することが可能になります。

また、弱齢幼虫(1齢~2齢)幼虫は、味覚がハッキリしていない分、ある程度の範囲なら幅広く食草を選べられるそうです。そして、その植物に含まれる摂食阻害物質に対してなれてしまい、耐性がつくそうです。
この例として、キアゲハの幼虫を柚子で飼育するなどができるそうです。やり方しだいでは、進化をさかのぼらせるような流れで、クスノキでナミアゲハやキアゲハを飼うことができるのかもしれませんし、食草の多様性、進化による食草の変化はこのようにしてもたらされたとも考えることが出来ます。

[139]Re:幼虫の味覚についての研究 t-nishi 2006/06/18 20:20

暁さん、こんにちは。ほとんど同じ時間に書き込んでおられたようで、先ほど、前の投稿に返信したら、間に、新たな書き込みがありました。びっくり。
それで、大学で、自分の中学時代の研究を調べて、同じ時期に専門家の方も調べていたんですか。面白いですね。暁さんも、続きで論文が書けるかも、と思いました。
よく知りませんが、早い者勝ちの論文の世界もたいへんですよね。
それにしても、自由研究されど自由研究。奥が深いです。

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