22412 返信 先祖返りを起こすイチョウの葉 暁 2005/10/28 AM 10:06
普通のイチョウの葉というのは、中央端に少し切れ込みがある(または切れ込みのない)扇形をしていますね。
ところが、事故に遭っったり、枝を切られたり、ひこばえをしているイチョウの枝の葉をよく見てみると、ヘラジカの角のような切れこみがいくつも入ったいびつな形をしています。
図鑑や博物館でイチョウの葉の化石を見ると、このヘラジカの角のような葉ととてもよく似ています。
イチョウは一族一種の植物で、ほかに仲間にあたる植物を持ちません。
そのため、太古の昔から独自の進化を遂げてきました。
なぜこのようにダメージを受けた葉が先祖がえりを起こすのか。
これを教えてくれた薬学部の先生は「イチョウの葉のもともとの形は、ヘラジカの角のような形が基本であるが、現在は発生途中でアポトーシスなどにより、細胞が壊死を起こしてこの形に変えていくプロセスが新たに作られているのだと思う。
しかし、ダメージを受けて、早急に葉をつけなければならなくなった場合には、このプロセスを排除して葉が形成されるため、先祖がえりが引き起こされると考えられる」
と話してくれましたが、実際のところ、本当の理由というのは解明されていないそうです。
[考察してみよう]
薬学部の先生の話では、現在のイチョウは昔のイチョウと違って
・切れ込みが少なくなっている
・一枚あたりの葉の面積が小さくなっている
のだそうです。なぜイチョウはこのような進化を選んだのか、自分なりの仮説を立ててみよう!
[やってみよう]
・先祖がえりをおこした葉と、普通の葉を押し花にして比べてみよう。
ミニ研究、まんぼうさんの『もみじの簡単コーティング』を使うのもおすすめ。
・先祖がえりを起こした葉と、博物館の化石、図鑑の写真などで昔の葉を比較してみよう。
[こんなところにあるよ!]
・事故に遭った木
・枝を切られた木
・ひこばえの枝
・枝の先の葉
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22413 返信 Re:先祖返りを起こすイチョウの葉 暁 2005/10/28 AM 10:18
「アポトーシスって何?」
先ほど、イチョウの葉で「アポトーシス」という言葉を出しましたが、
高校で習う範囲になるので簡単に説明します。
アポトーシスというのは、細胞を殺すプログラムのことです。
古い細胞や余分なアポトーシスが殺してくれたりします。
今回重要な働きは余分な細胞を殺してくれる働きほう。
ちょっと紙の上に手をおいて手形を書いてください。
次にはさみを使って指の形に添って手形を切り出してください。
切れましたか?
今回使ったハサミがアポトーシスの代わりです。
切り取られた残りの余分な紙が余分な細胞。
もし発生途中でアポトーシスが働いてくれなかったら、私たちの手は、指のない手になってしまいます。
これと同じように、植物の葉もアポトーシスによって形作られているのです。
余談:薬学の先生の仮説はすごい説得力があるけど、ヘラジカの角の形をつくるのもアポトーシスのおかげでは?と思ってしまいます。
この点に関しても仮説を新たに考えてみるといいかもしれません。
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22416 返信 Re:先祖返りを起こすイチョウの葉 t-nishi 2005/10/28 PM 06:26
暁さん、こんにちは。
> 余談:薬学の先生の仮説はすごい説得力があるけど、ヘラジカの角の形をつくるのもアポトーシスのおかげでは?と思ってしまいます。
> この点に関しても仮説を新たに考えてみるといいかもしれません。
「アポトーシス」(細胞の自然死)、すごく、格調の高い話になってきましたね。とっても面白いです。このお話を聞いて、私は、(直接は関係ないですが)、四葉のクローバーの話を思い出しました。このホ-ムページにもあるんですが、普通の三葉のクローバーが踏みつけられて、変異を起こして、四葉になるということでした。面白いですね、自然界は。DNAの解読も進んでいます。遺伝・進化の分野は、まだまだこれから、大きな発見が出てきそうですね。
ちょっと、脱線しました。「先祖返りを起こすイチョウの葉」の研究、投稿ありがとうございました。ミニ研究に追加させていただきます。
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